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40代男性がコミックス『私の少年/高野ひと深』第1巻を読んだ感想※ネタバレ注意

おねショタ漫画といわれる『私の少年高野ひと深』を40代男性が読んで楽しめるのか?

40代前半会社員です。3歳の子持ち(女の子)です。最近帰宅して風呂に入るとき思わず嗅いでしまう、ワイシャツの下に着ているベージュのTシャツ(透け対策、おっさんの透けた白シャツやまして乳首など誰も見たくなかろう)の背中部分が大変臭いです。汗とも違う、油臭いような、たぶんミドル脂臭というやつです。ああ臭い臭いぞ私。
あとショタ全般を愛好する趣味はありません。ロリ全般も特に響かないです。で、楽しめるのか?『私の少年高野ひと深』を?


私の少年高野ひと深』のあらすじ〜アラサー女性と12歳小学生男子の物語

※以下ネタバレ注意
スポーツメーカーに勤める独身アラサー彼氏なし・多和田聡子は夜の公園でひとりサッカーの練習をする少年・早見真修と出会う。元カレであり上司の椎川に振り回されつつ勝手な思い入れをしていたことに気づいた自分に気づき、傷ついた聡子は家庭に問題があり、孤独な真修と次第に心を通わせていき・・・続きはコミックスでどうぞ。


おねショタとか関係なく面白いです

早々に結論を描いてしますと、これは面白い漫画です。続きを早く読みたい。キャラクターの見た目やシチュエーションでどうのとかは一切関係なく、読み応えのあるストーリーで心を持っていかれました。
アラサー女性の孤独とか12歳のキラキラした様子は重要な要素ではあるもののそれだけで持たせようという作品ではなく、人と人との関わりや愛情の持ち方感じ方といった部分により力点が置かれています。
おねショタに興味がなくても楽しく読めます。


第3話・第4話で繰り返し語られる「普通」というキーワード

聡子の「普通」、真修の「普通」、菜緒の「普通」が三者三様に描かれる第3話と第4話が、私には印象深いです。
3話での「人に親切にする・やさしくするのが普通」という菜緒の感覚に今ひとつピンときていない真修と、真修がうさぎの世話をする様子を見て「普通に同じように見えるものにも実は違いがある」ことに気づく菜緒。
菜緒はさらに、真修の机の上に「まるで真修の存在などないものであるかのように」普通にランドセルを置くクラスメイトを見て、このクラスではこれまで、自分を含めて誰ひとりとして真修のことなど気にかけていない、クラスメイトという集団のワンオブゼム(うさぎはうさぎであって違いのないものと「普通は」思うのと同じ状態)で、つまり存在がないものになっていることに気づく。
体調が悪く嘔吐してしまう菜緒を普段は親しいはずの友人達が「汚い」と遠巻きに見ているだけなのに対し、とりわけ親しくもない真修が率先して助ける。友達だからといって助けてくれるわけでもない菜緒の「普通」と、友達でなくとも助ける真修の「普通」。
続く4話で「人にやさしくするのが普通だから自分にやさしくしてくれるのか」という真修の問いに「普通こんなことはしない」「相手が真修だから」と聡子は答える。
菜緒という普通(=無責任な世間そのもの)の代表を差し込むことによって真修の特異性や真修と聡子の関係の特異性が際立ちますが、真修にしてみても聡子にしてみても世間様の普通などはどうでもいいというか(真修は特にわからないだろうし聡子は無意識ですが)一対一の関係がすべて、というのが清々しいくらいに眩しく見えます。


「THINGS」

3話の真修のトレーナーに「THINGS」と描いてあります。クラスの中で真修がどういう位置なのかを作者・高野ひと深がトレーナーを使って説明しているように思いました。
真修の立ち位置は「モノ」。
教室の備品と同じ。あってもなくても気付かれない。誰からも認識されていない、というのをトレーナー使って表現するのはエグい感じがします。やり手!


恋に落ちた聡子

聡子が「真修だから」と言った時、自分自身でもその言葉に意味があるとも真修が意味を感じるとも考えず言っています。でものその後、真修は聡子の名前を呼び、手首を掴み、今日一番の幸せの証「ガチャガチャのまぐろ」を聡子に握らせる、このシーン。これは聡子が「恋に落ちた」瞬間だと思います。


40代男性でも世界観に引きこまれます

私の少年高野ひと深』はおねショタ漫画の皮を被ってるだけで、王道の恋愛漫画だと思います。40代男性でも楽しく読めると思います。「ショタの良さ」が何となくわかったような気にもなりますよw


私の少年』というタイトルについて

巻末のおまけ漫画で作者が同じ月刊アクションに掲載されている『弟の夫/田亀源五郎』とタイトルが似ていないか心配したというエピソードあるのですが、それを心配するなら『私の男/桜庭一樹』(依存が行き過ぎて溺れる感じと時系列を遡っていく感じが面白い)じゃねえのか?と思ったり。。。
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私の男 (文春文庫)

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