時は動き出す
銚子の砂浜での暴力的なじゃれあいを経て、春日くんと仲村さんは夏祭りの日にバラバラになったお互いの心を理解し、常磐さんは二人の関係の中に溶け込む。ありがとう、という感謝の言葉の後…
前号のおさらいはこちら
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別冊マガジン2014年4月号『惡の華/押見修造』第55話のあらすじ
※ネタバレ注意
時は流れてまた夏、春日くんは大学でボードレール「惡の華」の講義を受けている。バイトに精を出しながら過ごす普通の大学生活。そんな春日くんが一人暮らしする部屋に常磐さんが訪ねてきて…
詳細は別冊マガジン本誌にてどうぞ。
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日々は過ぎていく
答え合わせから時は動き出し、また夏。春日くん常磐さんもどうやら都内で大学生となっているようです。
二人のやりとりから
ということが推測されます。
常磐さんは小説を書きたいという想いをきちんと形にするため、文学賞的なものにも挑戦しているようです。
春日くんの白紙のノート
まだ何も書き込まれていないノートを持っている春日くん。
何も書いてないよ
まだ
ということは、何を書くかは分からなくても、何かを書くつもりがあるということ。
常磐さんもなんでも一回書いてみればと勧めますが、常磐さんみたいな才能がないから、と一歩引いています。
私はこのノートに春日くんが何を書くのかが今後のテーマになるのだと思います。
これに何かを書いた時が作者が言うところの「思春期を抜け出したところ」であり、『惡の華』の終着点となるのでしょう。
『惡の華/ボードレール』の「髪」について
『惡の華/押見修造』において、授業の題材でその時の春日くんの現況や心のありようを説明するという表現方法は高校編の第1話などでもおなじみの手法*1。このブログでも取り上げています。
『惡の華/押見修造』に関する雑感 - I think so./I feel so.〜takashi_itoの読書感想文〜
今回、ボードレールの詩「髪」が取り上げられました。
この詩はボードレールの恋人で黒人との混血といわれるジャンヌ・デュバル(詳しくはこちらを参照ください。ジャンヌ・デュヴァル Jeanne Duval :ボードレールと女 - 壺 齋 閑 話)の波打つ黒髪がテーマとなっています。
話中で説明があるように、ボードレールはジャンヌに関する詩を多数残しており、彼に多大な影響を与えました。
今回の取り上げられた詩の内容をみると、春日くんの現況というよりは、春日くんにとってのジャンヌ・デュバルの存在を思わせるものとなっています。
襟あしかけてふさふさと波うつ髪よ!
の、ゆるふわパーマの常磐さんなのか?
われ狂おしく酔い痴るる、
の、仲村さんなのでしょうか?
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『惡の華』は堀口版ではなく、ちくま版に変わった
大学生になって、ルドンモチーフの惡の華が描かれた、架空の講談社文庫・堀口大學訳版からちくま文庫・阿部良雄訳版に変わりました。ルドンモチーフの惡の華は春日くんに握り潰されて以来、春日くんの周りからも消え失せたようです。春日くんもそれを求めていないので、彼の周りには現れなくなったのです。
そう考えると前回の仲村さんが見せた惡の華風三白眼は仲村さん自身が持つもので、春日くんの惡の華とは別の存在(春日くんには見えていない)であると思います。
ボードレール全詩集〈1〉悪の華、漂着物、新・悪の華 (ちくま文庫)
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最後に
一言。声を大にして言いたいこの一言は、ブログが文字媒体であることを考慮し、フォントサイズを上げることで私の思いを表したく。
もげろ!
ありがとうございました。
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*1:コミックス7巻P.47〜48やコミックス9巻P.4〜5