- 書名:そして生活はつづく
- 著者:星野源
- 作者: 星野源
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/01/04
- メディア: 文庫
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昨日の新宿での人間ドックのあと、久々に行った紀伊国屋で買いました。星野源、初のエッセイ集。大変読みやすく、昨日今日でさくっと読み終えました。
星野源とは?
最近体調不良による休業と復帰で朝のニュースネタにもなっていたので、だんだん浸透してきたのかな?という気がします。詳しくはオフィシャルとWikipediaでも見てくださいな。
星野源 オフィシャルサイト
wikipedia:星野源
オフィシャルのTOP絵、いいなぁ!2011年11月からあらゐけいいち、2012年4月から水沢悦子、2012年8月からは山下和美の絵になっています。
内容
※ネタバレがあると思いますので注意してください。
マガジンハウスのPR誌『ウフ.』(休刊中)に連載されたエッセイ「そして生活はつづく」にさまざまな書き下ろしや原作・星野源/画・小田扉の描き下ろし漫画を加えて2009年9月に単行本として発売され、俳優・きたろうとの対談を追加収録して文庫化したのが文春文庫版『そして生活はつづく』です。
「つまらない毎日をおもしろがること。」(P.25)をテーマに、日常生活の出来事がユーモアたっぷりに、子供の頃の思い出などを絡めながら綴られています。
感想
本書において、私が一番印象深く感じたのは「子育てはつづく」だ。
仕事でヘマをした星野は所属事務所の社長に「なんでそんな人間なのか?」と泣かれながら激怒される。なぜそこまで怒られるのかが理解できない星野だったが、星野を全否定するようなその言葉にショックを受け、どうして自分はそんなふうに怒られてしまう人間になったのか、小学生時代を過ごした場所に行って振り返ろうとする。小学生当時、ちょっとしたいじめを受けていた星野はそれが原因で神経性の腹痛を患い、その頃のことは嫌な思い出として封印していた。懐かしい風景を見つめながら歩くと、悲しい思い出はどこへやら、星野の母親「ようこちゃん」に何かにつけて騙された、くだらなくも楽しいエピソードばかりが思い出される。
私はそういったことをほとんど忘れてしまっていた。そして、学校での辛い体験を思い出さないようにすることで痛みを増幅させ、「私は心に傷を負った人間です」と思い込もうとしていたのだ。そして私はそのとき初めて、自分は「そんな人間」だったんだということに気づいたのである。
(P.47~P48より)
トラウマをより強固にしていたのは、思い出から逃げ続け、傷ついたことを盾にしていた自分自身。私には身につまされる話です。
また、ファンとしては大変気になる、星野はなぜ文筆・音楽・俳優・映像制作などさまざまな表現活動に取り組むのか、それを明らかにした一文が「眼鏡はつづく」にある。
生きづらさを緩和するために表現をするのだし、マイナスがあるからプラスが生まれるわけだし、陰があるから光が美しく見えるのである。不満がなくなり、全てのことに満足したら何もしなくなってしまうだろうなといつも思う。
(P.150より)
一見とっちらかっているかのような星野の活動は、星野にとっての「生きづらさ」が原動力になっている。「生きづらさ」はコンプレックスと言い換えてもいいだろう。星野は実に様々なコンプレックスを抱えている人なのである。お腹が痛くなること、口内炎がすぐできてしまうこと、運動神経が悪いこと、目が悪いこと、小学校時代に受けたいじめ、周りに溶け込めない自分。それらを星野はこれまでのところ実にうまく、順調に「表現」に転換できている。くも膜下出血で昨年末から休業し、先日から徐々に仕事を再開している星野、これからもいろんな表現を見せて欲しいと思う。