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漫画や映画など読んだもの・見たもの・聞いたもの・使ってみたものや普段の生活に関する感想文です。内容は一個人である私の思いつきに過ぎません。

コミックス『ハイスコアガール/押切蓮介』第3巻の感想

ハルオ、何かに目覚める⁉

帰ってきた大野に対戦を拒否されて傷心のハルオ。大野や小春や宮尾の恋心をスクリューパイルのように巻き込みつつ、中3が迎える人生の岐路「受験」に向かって突き進む『ハイスコアガール』3巻、私なりの感想です。


ハイスコアガール押切蓮介』第3巻のあらすじ

※ネタバレ注意
昼休み、体育館でパンをかじりながらゲーメストを読み耽るハルオ。そこに同級生から呼び出された大野が現れる。呼び出した同級生は大野に告白するが玉砕する。フラれた同級生が見ていたハルオに絡む。「大野さんはお前のなんなんだよぉ」考え込むハルオ。現状の実力差を見せつけられ、対戦を拒否されたことを思えば大野のことをライバルとは言えない。では、何だ?ハルオの出した答えは大野の怒りに油を注ぐものだった。

俺にとって大野は…
目の上の
たんこぶ……?

大野の態度が解せないハルオに、親友の宮尾が今度の修学旅行で大野に告白すると言う。迎えた修学旅行、新幹線に乗り途中の駅で先生から頼まれた飲み物を買うためにホームに降りたハルオと手伝おうとした小春は、抱え切れずに落とした飲み物を拾おうとしているうちに新幹線が発車してしまい、取り残されてしまう。東海道線の鈍行は落石で遅延しており、やむなく徒歩とバスで京都へ向かうふたり。琵琶湖を見たりや駄菓子屋ゲーセンで遊んだり、ちんたらしながら京都の宿泊先に着いた。宿泊先にもゲームコーナーがあり、ハルオがそこに行くと大野がいた。今日の出来事を話すハルオに、大野の怒りゲージが溜まっていく。翌日の自由行動でハルオはひとり抜け出し、スパⅡXの大会に出場する。大会には同じく抜け出した大野も参戦していた。成長した自分を大野に見せつけたいハルオは順調に勝ち進み、決勝で大野と対戦する。一進一退の攻防が続くが、ハルオは大野の動きに違和感を感じる。大野が戻って来て以来、無視されていると感じるハルオはその困惑と悲しみをぶつけ、2-1で大野を破り優勝する。表彰式のあと、会場を去ろうとするハルオの耳に、大野が使った筐体のパンチボタンが3つとも効かない状態だという大会スタッフの話し声が聞こえてくる。愕然とするハルオは大野を追う。河川敷で大野を見つけ、大野に「真剣勝負をなんだと思ってやがるんだ」と罵声を浴びせると、強烈な裏拳を喰らう。ハルオは今まで鍛錬を積んできたのはいつか大野と戦うため、大舞台の決勝でも俺のような雑魚を相手にする気はゼロ、同志だと思っていたが俺とお前は違う世界で生きる人間、やはりお前は俺の目の上のたんこぶ、と言い放つ。大野の怒りゲージはMAX、ハルオに強烈なパンチを叩き込み、ぶん投げる。食い下がるハルオ。河川敷にゴロゴロと転がるふたり。馬乗りのハルオを下から大野はボコボコと殴りつける。血を流し、涙をぬぐいながら話すハルオ。

お前が帰ってくる事をどれだけ楽しみにしてたか…
次から次へ登場する名作について色々語りたいと…

大野の手が止まる。ハルオは大野の首に、指輪を通したネックレスを見つける。それは、大野のアメリカ行きの日に空港で渡した、謎のゲーセンがしゃどくろで取ったおもちゃの指輪だった。

お前…
なんでこんなもん……
いまだに持ってんだよ…
…なんで

身体も服も汚れたふたりは、銭湯でスパⅡX大会の優勝商品であるお風呂セットを有効活用し、参加景品であるTシャツを共に着る。ペアルックだなと話し掛けるハルオ。宿泊先に帰ると、ペアルックのふたりは宮尾に見られていた。ハルオに事情を聞き、全てを察した宮尾は大野に告白することを諦めた。帰りの新幹線でハルオの様子がこれまでと違うのに小春は気づく。ハルオは自分の進路について考えるのだった。
夏休みに入り、3年前の夏と同じようにゲーセンで一緒に遊ぶハルオと大野。ハルオは大野に高校生になって友達ができるのか案じる。ハルオは大野に自分がセガサターンを手に入れることができたら、ウチに遊びに来いやと言う。ハルオは大野と一緒にいると楽しいと思う自分、話したかったことが頭からスッポリ抜け落ちてしまう自分に気づく。そして別々の高校に行くことになることを思う。川崎のゲーセンまで遠征した日の別れ際、ハルオは「俺と一緒にいて楽しいか?」と聞く。大野はわずかに微笑みながら、黙ってうなずく。ハルオは高校に行っても大野のいい気晴らし役になれれば、と考えるが、思い直して、進路に関する自分の気持ちを明確にする。

…いや…
本音はそうじゃねェだろ
自分に正直になれ…‼
俺は
あいつと一緒に居てぇと思っているんだ

ハルオは大野と同じ偏差値の高い高校に進学するため、ゲーセン通いをやめ、人が変わったように机に向かい、勉強に励み出す。小春も宮尾も担任教師もハルオをバックアップする。
2月の受験当日、ハルオが家を出ると大野の運転手・じいやが迎えにきていた。すべての事情をハルオ母から聞きいていたじいや。じいやはゲーセンに現れなくなったハルオは、大野と一緒に遊ぶゲーセンという場から心が離れたのではないかと心配していた。しかしハルオ母から事情を聞き、これからもハルオが大野の支えになろうとしていることを察し、安心していた。ハルオが大野と同じ高校を受けることはまだ話していない、このことはハルオから大野に話してくれと言う。後部座席に乗り込むハルオは、大野に話し始める。ゲーセンに導入されるゲームの進化について。アメリカに立つ大野を追いかけて行って話したこれから出るであろうすごいゲームについてのハルオの考えは、進化するゲームの大きな流れを大野と一緒に見ていけたらどんなに楽しいかと本気で思って話したこと。ゲーセン通いを自粛しただけで、飽きたわけではなく、ゲーム業界も大野も前に進んでいるのに自分だけとどまるのはカッコつかないと思い、馬鹿なりに足掻いて勉強し、大野と同じ高校を受験すること。話を聞きながら大野がそっとハルオの手を握る。大野は恥ずかしいのか、ハルオの方を見ていない。ハルオは一瞬大野の方を見て

…大野…
…俺なぁ…

何かを言いかける。

………
いや…
やっぱなんでもねぇ…

とこちらも大野の方を見ていない。大野の手はハルオの手をずっと握っている。
受験会場に着き、受験番号1942にポジティブなものを感じるハルオ。ひとつひとつ問題を解いていく。

…そして
…もし…
受かったら
大野に俺の
正直な気持ちをーーーー

合格発表の日、掲示板に1942はなかった。


完全に空気の小春

小春は本当に気の毒と言うかかわいそうと言うか。ハルオとふたりで取り残されて京都に向かうのは小春的には大変おいしい出来事ですが、小春自身にも様々なモヤモヤが残ります。

…大野さんとの関係
き……
聞きたいな〜〜〜*1

二人の間にいつもはさまってるゲームの存在が…
ちょっとだけ憎たらしい
ああ…
なんでこんなワケのわかんない片想いしてんだろ…*2

小春は読者目線だと大変感情移入しやすいキャラクターだと思います。引用した箇所は私としては大変ツボにはまったところで、どう考えても今後ハルオとは発展しなさそうなことと併せて考えると小春がいじらしく感じられるのです。あーかわいそうだ。しかし、ストーリーの展開的にもこの萌え萌えの小春があっさりぶっ飛ばされるような出来事が起こります。


ハルオと大野、昭和の小学生のような和解

自由行動日にスパⅡXの大会に出て、決勝で対戦するハルオと大野。ボタンがいかれてたことを言い訳にしないことをハルオは曲解してしまいます。ずっとシカトしてくれた上に、そこまで俺を見下すか?という怒り。大野は大野でハルオがなかなか自分に気がつかなかったこと、目の上のたんこぶと言ったこと、ハルオによその女(小春)とふたりきりで取り残されて長い時間かけて京都にきたこと、途中ゲーセンで楽しく遊んだことを自慢げに喋られたこと*3に立腹しており、怒れるモノ同士がまさかの拳と拳の大ゲンカとなります。大野はハルオの「帰ってくることを楽しみにしてた」というセリフで、ハルオはがしゃどくろの指輪を大野が肌身離さず持っていたことを知ることで、相手の想いをそれぞれに察し、和解します。夕焼けの河原のケンカで仲直りする、まるで昭和の小学生。私の場合、小春とハルオのエピソードだと小春に感情移入してしまい、ハルオがポンコツにしか見えなくなるのですが、ハルオと大野の組み合わせだと、このふたりの組み合わせそのものに感情移入できてしまいます。そういった意味でも私としては小春が不憫で不憫でたまらないのです。


車の中でハルオは何を言いかけたのか?

好きだ、でもなく、付き合ってくれ、でもなく、「お前と一緒に居たい」だと思いました。ハルオは事ここに及んでもまだ自分の大野と一緒に居たいという気持ちこそが恋愛感情だということに気づいていません。この辺りは作者・押切蓮介も『ハイスコアガール公式ファンブック』で次のように語っています。

友達以上の気持ちなんでしょうけど、また好きとか嫌いとかよくわかっていない。ウブな男の典型ですよ。*4

この時点でのハルオが感じるハルオの気持ちは「大野と一緒に居たい」以上でも以下でもないのです。もどかしい奴ですよw


合格発表の表現

絵の中で1942探してしまいました。これは公式ファンブックによれば狙い通りのようです*5。うまく表現できてるなあ。。。


バーチャファイター2の思い出

これもゲーセンで死ぬ程遊びました。1の時点で地名プラスキャラ名のスタープレイヤーが生まれ始めていましたが、この2でいろんな媒体にVF2のスタープレイヤーが出てくるようになりました。コスプレしながらめちゃくちゃ強い姉妹がいたような気もするし、一番有名なのは新宿ジャッキーとブンブン丸で、なぜかファミ通の編集者になっていたという。あと、新宿西口のスポラン。私、主戦場は府中のサクラのゲーセンだったんですが、たまに腕試しで行ってました。ジャッキーだったんですけど、影に弧延落からの水車蹴りで落とされたり、アキラの崩撃雲身双虎掌でフッフッハーッ!と落とされたり、まあ大概散々でした。頑張った割に大したことなかったですね、私w

バーチャファイター2

バーチャファイター2

*1:コミックス3巻P40

*2:コミックス3巻P45

*3:コミックス3巻P50

*4:ハイスコアガール公式ファンブックP99

*5:ハイスコアガール公式ファンブックP100