我想う、故に我在り…だが、想うこの俺は誰なんだ?
※ネタバレ注意
定助はジョジョシリーズ最高に哀しい主人公だと私は思います。これまでの主人公達は皆、不条理で残酷な運命に時に弄ばれながら、それでも自らのゆく道を自らの意志の力で切り拓いてきました。そして皆、自分が何者であるかをすでに知っていて、これから何をなすべきかについて自覚的でした。定助はどうでしょうか?自らのゆく道を自ら切り拓く意志の力は充分にありますが、自分が何者か、彼は全く分かっていません。家政婦・虹村のスタンド「ボーン・ディス・ウェイ*1」に追われながら見た、どこかの家の家族写真。どこの家にもあるはずの、誰もが撮ったことがあるはずの家族写真。自分の写真もこんな風にどこかで飾られているのだろうか?飾られているなら、それを持っている誰かが自分のことを捜しに来てくれるはず。そうでないということは、つまり自分には帰るべき居場所も頼る家族もいない。自分は世界から完全に切り離されている…。定助は積み重ねてきたはずの記憶を持たず、青年の状態で、いきなり「壁の目」の土の中から分娩された赤子です。どうしてそこに埋まっていたのか、どこから来たのか、どんな人間なのか、どんな過去を積み重ねてきたのか、それらを説明する言葉も記憶も一切持たない哀しい定助の、秘密の一端がこの4巻で明らかになります。
- 作者: 荒木飛呂彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/05/17
- メディア: コミック
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半分は吉影、もう半分は?
「ボーン・ディス・ウェイ」をなんとかかわし、母であるホリーを頑なに守ろうとする虹村と定助は和解。「壁の目」に移動し、虹村から定助は自身に関する事実を告げられます。「壁の目」にはそこに埋められたものを一緒くたに混ぜてしまう力があることを。そこに埋まっていた定助は「吉良吉影」と「もうひとり」が肉体も心も融合していることを。その「もうひとり」は誰なのか、東方家が何かを知っていることを。
カツアゲロード
とりあえず学校へ行くことにした定助。年齢も学力もわからないのでまずは高校に行ってみることに。高校への通学路の一角には悪名高き「カツアゲロード」があります。そこは通行人が必ず何らかの形で金を巻き上げられる道。案内役の常秀はかつてそこでカツアゲされ、逆にカツアゲしてやると意気込む今回もまんまとカツアゲされてしまいます。そして次のターゲットは定助。。。