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I think so./I feel so.

漫画や映画など読んだもの・見たもの・聞いたもの・使ってみたものや普段の生活に関する感想文です。内容は一個人である私の思いつきに過ぎません。

納谷悟朗さんのこと

納谷悟朗さんが亡くなりました。

 
 
私、納谷悟朗さんに仕事を発注し、演じていただいたことがあります。
もう7〜8年も前のことですが。銭形のとっつぁんのセリフをベースに、それをテーマに沿ってパロディにしたセンテンスを私が作り、納谷さんに演じていただくのです。
当時、その声を聞けば一発でキャラクターが思い浮かぶような声優を起用してコンテンツを作る、という企画が私の仕事の一部にありました。誰を起用するか、どんなセンテンスを読んでもらうか、いつリリースするかなど、一連のプロデュースです。
とっつぁんを演じた納谷さんは、この企画開始当初からスケジュールの調整さえつけばすぐにでも録りたい方でした。そして企画が動いて、何人かの素晴らしい声優を起用してコンテンツがリリースできた頃に、遂に納谷さんをブッキングできました。
 
収録当日、納谷さんは六本木一丁目のスタジオに直接入られる事になり、我々スタッフは納谷さんを待ちます。しかし納谷さんはなかなかスタジオにいらっしゃいません。しばらく待つと納谷さんご本人からスタジオに電話があり、道に迷ってしまったので迎えにきて欲しいとのこと。
とっつぁんのクセに、艦長のクセに、迷子かよ!と、ちょっぴり思いましたが、私も人の事は言えません。だって入り組んでてなかなか分かりにくい場所にあるスタジオだったので、私も随分ウロウロしてしていたのですから。
ディレクターの女の子が迎えに行き、納谷さんがようやく現場に入ります。現場にいらっしゃった納谷さんは、ダンディな出で立ちに、茶目っ気をまとったまさにとっつぁんそのものでした。感動しました。
 
録音自体は、私にとっては若干残念ではありました。この企画全体に言える事でしたが、年齢には勝てない部分が声には現れます。ハリというか伸びというか、もっと言えば、瑞々しさ。そういったものが子供の頃に聞いていたあの声とはやはり違うのです。特に一般的に高齢者に括られる方の場合はそれが出てしまうのです。
この企画を通して、それを最も感じたのは、この納谷さんでした。呼吸も若干苦しそうでしたし…しかし、仕事は全力で演じてくださいました。その時点で出し得る全てを出してくださったと思います。
 
納谷さん、その節は、本当にお世話になりました。
心よりご冥福をお祈りします。